茶旅3日目は、沖縄伝統ブクブクー茶保存会の皆様のお話を伺いました。
明治期から戦前まで、那覇四町だけで飲まれていたブクブクー茶。お祝い事の時飲まれていた、振り茶です。写真にあるように立膝にして、その膝の上に茶せんを持った腕を乗せ、楽な姿勢で泡立てます。
また、那覇東町の市場でもブクブクー茶を売り歩く売り子がいて、そのブクブクー茶が好物だったという最後の琉球王朝の四男、尚順(しょうじゅん)男爵のエピソードもあるそうです。
旅に出る事が大変だった時代、出発の日に験担ぎでブクブク茶を立て、無事に帰ることを願いました。
ブクブクー茶の材料は、煎り米、高度の高い水(エビアン使用)、サンピン茶(緑茶ベースのジャスミン茶)、赤飯、炒りピーナッツ。道具は、鍋、ザル、ブクブクー皿、茶セン、茶碗。
作り方は、①白米(無洗米)を煎り、②沸騰させた硬水に①の煎り米を入れ(写真左)、弱火で煮て濾して冷まし(写真真ん中)、煎り米湯を作ります(写真右)。
③煎り米湯1:サンピン茶2の割合でブクブクー皿に入れ(写真左)、④茶せんを皿の端につけるように直線的に動かし、10分立てに泡立てます(写真右)。
⑤茶碗に少量の赤飯を入れ(写真左)、サンピン茶を注ぎ(写真真ん中)、⑥しっかり泡立てた泡を茶せんで上に盛付けます。(写真右)。
⑦泡の上に炒りピーナッツをかけて出来上がり。泡に直接口をつけ、啜るように飲みます。茶碗の底の赤飯は、サンピン茶を注ぎ足して、お茶と一緒に飲み込みます。箸は使いません。
この日のお茶請けは、月桃の葉皿に、上から花ボウル、4種のちんすこう、ちーるんこう。手作りの焼き菓子です。沖縄らしくて可愛いです。
ご指導下さった、沖縄伝統ブクブクー茶保存会の皆様、ありがとうございました。
茶旅2日目は、沖縄県名護市にある、金川製茶を視察させて頂きました。金川と書いて、カニガワと読みます。工場全景(左)と育種中の苗(右)。品種はべにふうき、あかね、ゆたかみどり。ポットから畑に移植します。
工場では早速、金川製茶の紅茶を、テイスティングカップで試飲させて頂きました。ゆたかみどり、やぶきた、べにふうきのブレンドです。
紅茶の生産は年2〜3回。2012年から始まりました。品種によっては、2月下旬から茶摘みがスタートするそうです。
手作りの可搬型萎凋槽。送風機が横についています。
ステンレス製の揉捻機と金川製茶4代目、比嘉竜一氏。
発酵機は作らず、以前緑茶を生産していた時、受け皿として使用していた杉の木の箱に入れ、発酵させているそうです。
乾燥機と金川製茶3代目、比嘉猛氏。
工場見学の後は、畑も見せて頂きました。沖縄本島中北部に広がる、酸性土壌、国頭(くにがみ)マージ。金川製茶の畑は国頭マージです。
名護岳が見える、標高70mのべにふうきの畑(左)とべにふうきの原木(右)。元銅山だった山に作った茶畑。畑の下には洞窟跡があるそうです。
6月上旬に、沖縄県農業研究センター 名護支所を視察させて頂きました。
最初に見せて頂いたのは、立って乗るタイプの1人用乗用型摘菜機。沖縄ではこのサイズで十分だそうです。
そして、紅茶向きの品種、べにふうき、べにふじ、べにひかり、べにほまれ、べにシリーズの畑(写真左)とゆたかみどりの畑(写真右)。
写真を撮りすぎて品種がわからなくなった、茶樹のアップ。
育種中の品種「マニプリ」と「あかね」。
視察後は、研究センターで育種しているお茶(写真左)と沖縄産紅茶(写真右)の試飲もさせて頂きました。
霜が降りない沖縄は4回茶摘みをし、生産量の90%が煎茶、3〜5%が紅茶です。また、南の島ならではの特徴として、冬に茶葉が休眠しないので、芽揃いが良くないデメリットがあるそうす。