パナソニック汐留美術館で開催中のブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ。

ハンガリー国立博物館から引き継いだ、古美術品からなる歴史コレクションと、万国博覧会(1873年ウィーン、及び1878年、1889年パリ)での購入品や、ヘレンド製陶所、ジョルナイ陶磁器製造所からの寄贈品が基になっています。
日本の工芸品も収集してきた、ブダペスト国立工芸美術館。19世紀後半から、日本の工芸品がヨーロッパにも入り込み、ジャポニスムが流行ります。ジャポニスムはアール・ヌーヴォーにも影響を与えました。
印象深かった展示品は(写真はないですが)、19世紀末のヘレンド製陶所の花器。ヘレンドは華麗なテーブルウェアのイメージですが、当時は流し釉の素朴な器を作っていました。
ロイヤルコペンハーゲンも、19世紀末は磁胎の流し釉の器を作っています。
ジュエリーで人気のティファニーは、1900年代初頭、中東を起源とするラスター彩の装飾品を完成させています。
他には、19世紀に女性の間で流行した日傘の陶製の柄と、男性のファッションに欠かせない、ステッキの陶製の握り(どちらもジョルナイ陶磁器製造所)。手に触れる所を陶器製にすることは、いかに陶器が人気であったのかを物語っています。
19世紀はまた、ヨーロッパで赤い釉薬の研究が盛んになり、牛の血の色に例えて、イギリスではオックス・ブラッド、フランスではサン・ド・ブフと呼ばれました。1905年頃に作られた、ロイヤルドルトンのヨークシャー豚とスコッチテリアの像は、黒みを帯びた赤色でした。

アール・ヌーヴォーには、ジャポニスムが見られる、花のモチーフを基にした植物様式、フロレアル・スティル(花の様式)と、ドイツ語圏で支持された、幾何学的アール・ヌーヴォー、ユーゲントシュティールがあります。上の写真はフロレアル・スティル、ジョルナイ陶磁器製造所の竹文ティーセット。
12月19日まで開催中。
東京都庭園美術館で開催中の「キューガーデン 英国王室が愛した花々 〜シャーロット王妃とボタニカルアート〜」。

英国王立植物園「キューガーデン」は、オーガスタ皇太子妃(1719年〜1772年)の庭園から姿を変え、現在では人気の観光スポット、及び植物と菌類の研究機関でもあり、ユネスコの世界遺産にもなっています。
キューガーデンの2代目園長であったジョセフ・ダルトン・フッカーの親友、チャールズ・ダーウィンや、同時代に活躍したプラントハンター、ロバート・フォーチュンも訪れた植物園です。

時は遡り、オーガスタ妃の長男、ジョージ3世と結婚したシャーロット妃(1744年〜1818年、上の肖像画)は、植物学に理解を深め、キューガーデンを進展させます。写真が存在しなかった時代、多くの植物画家がボタニカルアートとして記録を残しました。

館内はほぼ撮影禁止ですが、壁に飾られたボタニカルアートの幕は撮影可能です。

こちらは撮影可能なテラス。

シャーロット王妃は芸術にも造詣があり、ウェッジウッドにクイーンズウェアの呼称を与えました。上の写真はウェッジウッド、ポートランドの壷。

チャールズ・ダーウィンが所有していた、ウェッジウッドのダーウィン・サービス。ボタニカルアートが描かれています。

ジョージ3世から王室御用達に選ばれたウースター窯。シャーロット妃をイメージして作ったロイヤル・リリー(上のカップ)とクイーン・シャーロット・パターン(下のカップ)。

ダービー磁器のボタニカル・サービス。1787年にロンドンで出版され、今もキューガーデンで発行されているカーティス・ボタニカル・マガジン、第4巻の絵が描かれています。

18世紀のイギリスの応接間、ドローイングルームの撮影コーナーもありました。

水彩のボタニカルアートを描くことは、当時の女性の嗜みでもありました。ドローイングルームは、絵を描く場所も兼ねていました。
11月28日まで開催中です。
2021年の中秋の名月は9月21日。お月見と言えば、お団子、ススキ、そしてうさぎをイメージします。

17年前に作られた、宜興紫砂、黒泥の茶壷。


把手がうさぎのモチーフの奔月壺。张泉林氏の作品です。

今年は月を愛でながら(見られなくても心の中で)、奔月壷でお茶を淹れようと思います。