2007年の中秋の名月は、9月25日でした。(2008年は9月14日です。)お月見されましたか?
お月見というと、いつも想像してしまいます。まあるい月の中で、うさぎが白いお餅をついている姿を。だから我が家のお月見には、うさぎの茶壷(急須)が欠かせません。




上の写真は、台湾の陶器メーカー三希の「小白兎」です。数年前、あまりの可愛さに一目惚れして購入しました。
中国茶を楽しむ方法に、養壷(ヤンフー)という言葉があります。これは、一つの茶壷に一種類、もしくは同種類のお茶だけをいれて、茶壷自体にお茶の成分を少しずつ染み込ませていき、より美味しいお茶が味わえるよう、茶壷を仕立てていくものです。文字どおり、茶壷を育てるという意味です。
養壷用の茶壷には、素焼きのもの(紫砂製)を使用します。プーアル茶や紅茶、発酵度の高い東方美人などで養壷する場合は、比較的色の濃いものを選ぶことです。お茶の葉が大きい場合は、蓋のサイズも大きいものを選択します。養壷用の茶道具、養壷筆や養壷座などもあります。
この小白兎は、台湾の烏龍茶、阿里山茶専用の茶壷です。つまり、阿里山茶で養壷しています、と言いたいところですが、紫砂の茶壷ではないので、気持ちだけです・・・。
ともあれ、茶壷を育てる、なんとなく良い響きですね。
キルスティン・ダンスト主演の「マリー・アントワネット」、ご覧になりましたか?
キルスティン・ダンストは、スパイダーマンのヒロイン役を演じた女優、と言えばおわかり頂けるでしょうか?私は遅らばせながら、DVDで観ました。
美味しそうなスイーツ、キュートなドレスや靴が随所に散りばめられたこの作品の中で、ひときわ印象に残った場面があります。それは、マリー・アントワネットが兄であるオーストリア皇帝ヨーゼフ2世と、二人水入らずでお茶を飲むシーンです。(お茶の仕事をしている性分ですね。)
マリーは中国皇帝から贈られたものだと言って、お茶の入った茶碗に自らお湯をさします。このお茶は、ジャスミンの花で香りをつけた緑茶を、職人が糸でくくり、お湯を注ぐと中から花が出てくるように細工した「工芸茶」です。
どんぐりのような茶葉

お湯を注ぐと紅い花が出てくる

横からだとこんな感じ
工芸茶は、ベースのお茶が紅茶のもの、花の香りをつけていない緑茶だけのもの、出てくるお花が複数のものなど、種類もたくさんあります。見て楽しむお茶なので、ウェルカムティーやアニバーサリーの演出に加えてみてはいかがでしょう?
マリー・アントワネットの気持ちがわかるかもしれません。
夏のお茶、というと何をイメージされますか?
アイスティー、水だしのお茶、麦茶などを想像されるのではないでしょうか?日本の緑茶は、春に摘まれる一番茶が美味しいと言われ、代表的な紅茶の一つであるダージリンは、年に3回も美味しい紅茶が採れる時期があります。では、夏にしか採れないお茶があることをご存知でしょうか?
夏にしか採れないお茶、その名は、東方美人(トウホウビジン)。またの名を、オリエンタルビューティー、フォルモサウーロン、シャンピンウーロン、ハクゴウウーロンとも言われる、複数の名前を持つ台湾が主産地のウーロン茶です。1000種類以上あると言われる中国茶の中でも、これだけ名前の多いお茶は他にないと思います。
発酵度は紅茶(完全発酵)に近い約70%の発酵度で、蜜のような香りとフルーティーな味わいと称される、れっきとした烏龍茶の一つです。香味が紅茶に近いお茶なので、洋菓子との相性も良いです。
この東方美人、製造方法が他の烏龍茶と違います。何が違うかというと、”ウンカ”という虫に葉を噛ませてから、葉を摘みます。”ウンカ”に葉を噛ませてから摘むために、茶葉は夏にしか採れません。”ウンカ”に葉を噛ませることで、新芽の栄養分が多くなり、独特の味わいが出るお茶なのです。茶葉は大きくよれていて、3色(黒・白・茶)以上の葉が混じっています。
これが東方美人です。


夏は、夏にしか採れないお茶で、ホッと一息つくのもオススメです。