3週間後、嫌気発酵させた樽を開けます。
常在菌で発酵させた茶葉は、黒くなっていました。開封せず、成分の分析などをすることになりました。
大きな樽の蓋を取り、重石、中蓋を外すと、
変色した茗荷の葉が現れます。茗荷の葉と上部の茶葉を取り除き、
下の方の茶葉をビニールシートの上に出し、固まった葉をほぐし、一枚一枚並べていきます。
黒カビが発生した茶葉も、同じようにビニールシートに一枚一枚並べていきます。
天地返えしを含め、約5時間日干乾燥させた茶葉の出来上がりは、2100gでした。
黒カビが発生した茶葉の出来上がりは300g。約10kgあった生葉は、4分の1の量になりました。
成功した方の茶葉を早速試飲してみました。左は茶葉に熱湯を注ぎ、3分浸出させた1煎め。右は1煎めの茶葉を、2分煮出した2煎め。お茶の量が少なかったからか、味は薄いですが、まずまずの酸味のある香りでした。
同じ条件で発酵させても、すべての樽が上手くいくとは限らない。黒茶作りの面白さだと思います。
2週間後、好気発酵させた樽の蓋を開けます。
開封した3つの樽と樽に入りきらなかったビニール袋の茶葉。
同じ条件下なのにひとつだけ、黒カビが発生した樽(真ん中)がありました。
成功した好気発酵の茶葉のアップ。
樽や袋から成功した茶葉を出し、ビニールシートの上でくっついている葉を剥がし、両手で葉を掴み、シートの上に葉を押し付け、前後に約200回手を動かし揉捻します。
揉捻後の茶葉を再び樽の中に入れ、ぎゅうぎゅうに詰め、上に茗荷の葉を並べます。
空気を遮断するために檜原村では茗荷を使いますが、他では棕櫚やバナナの葉を使うこともあります。
茗荷の葉の上に、中蓋を乗せます。
黒カビが発生した茶葉も揉捻し、再びプラスチックケースに入れぎゅうぎゅうに詰め、同じように茗荷の葉を乗せ蓋をします。
嫌気発酵用の樽は、大きいもの1つと黒カビの小さいもの1つに姿を変えました。カビ付けせず常在菌で好気発酵させた茶葉は、揉捻した後ジップロックに入れ、樽の蓋の上に置き、重石を乗せました。陽の当たらない場所に、このまま3週間置きます。
Part.3に続きます。
2020年も、檜原村での黒茶製造実験に参加させて頂きました。
今年は1日目の茶摘み、蒸煮、カビ付けからの参加です。左は黒茶用の茶畑。右は茶畑から見える景色です。着いた時は雨が降っていましたが、茶摘みを始める頃、雨は止みました。
黒茶は茶葉をしごき摘みします。摘み終わった茶樹は、右のように枝だけになります。摘んだ生葉は約10kgです。
薪で釜戸の火を燃やして釜の湯を沸かし、
3段の蒸籠を蒸します。追加用のお湯は、コンロで沸かして準備しておきます。
左は蒸す前の茶葉。右は20分間蒸した茶葉です。
8回に分けて蒸し終えた茶葉は、ビニールシートに広げて冷ました後、石鎚黒茶の菌を培養したカビを希釈し散布します。
その後、撹拌した茶葉を樽にふんわり入れます。入りきらなかった茶葉は、ビニール袋に入れました。実験として、カビ付けしていない茶葉も小さなプラスチックケースにセットしました。そして陽の当たらない場所に、2週間置きます。
Part.2に続きます。