翌朝の漬け込んだ樽。シュロの葉の間に白い泡が出ています。一晩で酵母が発酵している証拠です。樽の中は40度以下で、微生物が生育しやすい環境です。空気中の乳酸菌が入って行きます。

碁石茶と同じで、重石と蓋が持ち上がり、そして少しずつ下がるそうです。透け込み期間は2週間から3週間です。

漬け込んだ茶を取り出すときは、写真の道具を使うそうです。茶葉を傷つけないように先が丸くなっている、生産家の手で作ったオリジナルの機械だそうです。この日は朝7時に、別の生産家のビニールハウスを見学させて頂きました。

桶出しした阿波晩茶を乾燥させるビニールハウスは、側面に開閉できる窓があります。天候によって調節します。そして早朝になると、夜間に茶葉を包んでいた防霜シートを、順次開封していき、熊手で茶葉を広げます。夜は再び、茶葉をシートに包みます。天気が良ければ3日間乾燥させて出来上がりです。茶を茹で、扱き、乾燥しているときの香りは、環境省が選定する「かおり風景100選」になっています。

左は乾燥中の阿波晩茶。真ん中は茎茶。入手困難な茎茶を頂けたので、帰宅後、阿波晩茶と同じように煮出して飲みました。感想はvol.4に書きます。右はビニールハウスの床。コンクリートの上に段ボールを敷き、筵、寒冷紗、防霜シートと重ねます。

ここの生産家は、レンガの釜(左)、オリジナルのオート揉捻機(真ん中)を使用していました。7月上旬から漬け込んでいる樽(右)も並んでいます。製造体験時より大きな樽で、杵でつくのではなく、本来の作り方である、人間が長靴を履いて茶葉を踏む方法で製造しています。
vol.4に続きます。
選別中に、茶葉を茹でる釜の準備をします。周辺の木を切って、薪に使います。

湯が沸騰したら、籠に選別した茶葉を入れ、落とし蓋をして茹でます。


しばらくしたら蓋を取り、掻き混ぜます。

約10分後、葉の色が変わり茹で上がった茶葉は、湯切りして、葉しごき機に入れます。

左は体験させて頂いた葉しごき機。片側はオートで、片側の取手を両手で持って前後に動かし、茶葉をしごきます。以前は二人で向かい合い、それぞれが取手を持って前後させ、人力で茶葉をしごきました。

葉しごき機を約100往復させ、揉捻した茶葉を樽に移し、

杵で空気が抜けるまで突きます。抜けたらシュロの葉を敷き、上に蓋を乗せます。

蓋の上にさらに重石を乗せ、茹で汁を入れて空気を遮断します。その後、樽は屋外の日陰に置きます。


こんなチャンスは滅多にないので、茹で汁を飲んでみました。

左が茹で汁。水色は濃く渋味があり、豆の味がしました。右は製造体験中に頂いた阿波晩茶。当然のことながら茹で汁より繊細な味で、柔らかな酸味がして、水色が明るいです。
vol.3に続きます。
四国と言えば、碁石茶、石鎚黒茶、そして阿波晩茶。昨年の高知、愛媛に続き今回は、阿波晩茶の製造時期である7月下旬に、その産地である徳島県上勝町を訪れました。

話は逸れますが、上勝町はつまものビジネスで成功した町で、その様子が映画にもなっています。

話を戻します。阿波晩茶は乳酸菌で嫌気発酵させる、後発酵茶です。もともと生産量は多くありませんでしたが、テレビ番組で紹介されてから生産量が追いつかないほど売れています。その阿波晩茶の製造工程を体験してきました。

まず、宿泊先から上勝町にある市字活動センターに移動し、そこから各自籠を持ち、歩いて茶樹のある畦畔に向かいます。左は活動センター。右は活動センターからの眺めです。

畦畔は想像していたほどには足場は悪くありませんでした。でも蛇がいました。茶樹は在来種で、肥料は与えていません。しかし最近は生産が追いつかず、ヤブキタも含まれるそうです。私も腰に籠を着け、茶摘みをしました。

摘んだ茶葉が入った袋をトラックの荷台に乗せ、一足先に晩茶を製造する家屋へ運びます。しごき摘みなので摘んだ樹は枝だけになり、丸坊主に。まるで枯れた樹のようです。

室内に運んだ摘採した茶葉。まず、実や異物を取り除く、選別作業をします。
vol.2に続きます。